私はその事を元義妹にゆっくりと説明し…
学校に行かなくてもいいが、行かないのなら他のみんなが学校で学ぶことをしっかりと身につけなければいけないと説いた。
ただ、何の目標もご褒美もなしに勉強しろと言われても、やる気も出ないだろうと考え…、私が不登校だった時、テストだけでも保健室で受けないかと担任に打診されたことを思い出し、元義妹の担任に相談した結果、中間・期末テストを放課後に空き教室で受けられる事になり、それを目標に勉強していくことになった。
ご褒美は、主要五教科の点数によってお小遣いを与えるというものとした。
平日は午前10時から12時までの二時間の間、集中して勉強する習慣を付けることと、家事の手伝いをする事を条件に…
平均点より上なら一教科につき5000円、
平均点より20点上なら、一教科につき1万円
当然、勝手に親御さんに払わせる約束をするわけにも行かず、
私が自腹を切ることになった。
他にも勉強とコミュニケーションの練習の一環として、私に勉強を教えてくれるように頼んだ。
中学生に教えてもらうのは恥ずかしかったが、人に勉強を教える事こそが勉強になると聞いたため恥を忍んだ。
また、歴史の要素を含むゲームを一緒にやったり、休日には半ば強引にスポーツに誘ったりもした。
元義妹は最初はテストだけでも学校にいくのは嫌だと言っていたが、お金に釣られたのか、危機感があったかは分からないが、テストごとに私から5万円を絞り取った。
金銭的負担は厳しかったが、将来彼女が苦しむことを考えると、1000万円でも安いものだと自分に言い聞かせた。
そして私は、元義妹をとにかく褒めまくった。
先述の通り、不登校の人間というのは学校に行けないことで、自分の事を社会不適合者だと思ってしまう。
普通の人間が普通に通っている学校に行けない事で、常にマイナスの状態に自分があると思えてしまい、自信をどんどん失っていく…
持論になるが、自分に自信が持てないというのは、生きていく全ての事でマイナスの要素にしかならない。
なので、たとえ彼女が金につられて勉強しているだけだとしても、とにかく褒めることで自信をつけてもらおうとした。
元義妹は、毎日2時間とはいえ集中して勉強する習慣がついていたため、学力も平均以上を維持し、自分の日々の努力がお金という形で証明されることが良かったのか、どんどん自信も付けていった。
元義妹が3年になる前の春休みに、3年からは学校に行きたいが、クラスメイトからどう思われるかが気になると相談された。
私が中学三年の三学期にようやく復学した時の体験談を交えて話し、そこまで気にされない事を説明するとテストのご褒美制度を継続することを条件にだが、彼女は一年以上休んでいた学校に復帰することが出来た。
その後、不登校だったため内申点はそこまで良くなかったらしいが、テストの点は良かったためなかなかの高校へと進学することができ私が褒めまくっていた趣味のイラストやデザインの仕事をしたいと美術系の大学へ入学し、無事に卒業。
中学生活の半分が不登校だったとは思えない、私が羨ましく思うほど順調な学校生活を送っていたようで去年の春からはある程度希望通りの仕事に就き、毎日楽しそうに頑張っているようだ。
そしてこの年末。私が実家に帰ると…
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